保育士の辛い仕事事情:厳しい現状への理解が必要

保育士といえば、「明るい」「元気」「優しい」というポジティブなイメージが浮かぶ一方で、「仕事がきつい」「長く続けられない」などのネガティブなイメージも。

実際ネット上には、保育士の不満や悲痛な叫びが多く見られます。では具体的にはどんなところが辛いのか、探っていきましょう。

保育士の辛い仕事事情

仕事量が多い

保育士の仕事のメインは子どもの保育。もちろんただ見るだけではなく、ひとりひとりの成長に適した保育を行い、事故などが起きないように細心の注意を払わなければなりません。

また保育に加え、連絡帳・日誌・児童記録・保育計画表など日々の記録物が山のようにあります。子どもを見ながら記入することはできないので、職員同士交代して時間を作ったり、残業したり、家に持ち帰ったりして作成しているのです。

そして保育計画に沿った準備が必要となるため、持ち帰りの仕事量はどんどん増えていきます。そのため、多くの保育士が睡眠時間や休日の予定を削り仕事をこなしているのが現状です。

勤務時間が毎日違う

多くの保育園が長時間保育を実施しており、当番制を採用している園では早番・普通番・遅番などその日によって勤務時間はバラバラ。

出退勤時間が違うので毎日のリズムが作りにくく、特に新人保育士はこの生活に慣れるまで時間がかかります。自身が子育て中の保育士は当番に合わせて、自分の子どもを預ける時間を調整しなければならないのも大変なところです。

また、保育後に会議がある園が大半で、その会議も乳児クラス・幼児クラス・全クラスなど細かく分かれており、月に何度も帰宅が遅くなるということが多々あります。

子どもの対応が難しい

無邪気な子どもたちに癒される一方で、どうしても対応に困る子どもたちがいるのも事実です。

例えば昼寝の寝かしつけでは、ベテランの先輩が寝かしつけるとすぐに寝入る子どもが、新人の自分だと何十分もかかってしまい、そのせいでその後の業務に支障が出てしまうことも。

経験を積めばコツが分かってきたり、他の保育士に代わってもらったりと対応できるようになりますが、それまでは「自分は保育士に向いてないのでは…」と落ち込んでしまう保育士も少なくありません。

他にも噛みつきや引っ掻きなど子ども同士のトラブル、自己主張の強い2~3歳児への対応や、ADHDなど発達障害を抱える子どものケアなど、悩みは尽きないのです。

保護者対応が難しい

子どもも十人十色であるなら保護者も十人十色。俗に言うモンスターペアレンツは実際のところ特殊なケースですが、正解のない子育てにおいて、保護者と保育方針が異なるケースは多く存在します。

子どものことを考えてこうして欲しいと伝えても、我が家ではそうではないと言われてしまえば、歩み寄るまでには時間が必要です。

保育園は、さまざまな事情を抱える家庭が集まっている場所。自分の保育理念を持ったうえで、それぞれの子ども、そして家庭の状況を冷静に見守り、その対応をすることが求められます。

その繰り返しの中で保護者との信頼関係が結ばれていきますが、かなり根気のいることです。

職場の人間関係が複雑

男性保育士が増えてきたとは言え、まだまだ保育の世界は女性中心の世界。女性特有の空気や、独特の風潮があることは否めません。

まず何よりも気遣いができることが求められ、上下関係がしっかりしているので、新人保育士は先輩の先回りをして業務の準備をするなど「空気を読む力」が必要となってきます。

また、女性が集まるとどうしても噂話が広まりがち。勤務中の態度だけでなく、通勤時の服装や休憩時の振る舞いなども気をつけていないと、あらぬ噂を立てられることもあります。

賃金が安い

前述したようなハードな面を多数持つ保育士という仕事。しかし平成27年度の賃金統計から見ても、女性保育士は女性の全産業平均より年収が50万円も低いというのが現状です。

保育士の賃金アップを求める声が各所で上がっていますが、保育は福祉という考えが根強いため、実現するのは時間がかかるかもしれません。

他人の子どもを見る一方で、自分の子どもを持つことができないというジレンマを抱えた保育士も多く存在するのです。

保育士の仕事が辛くなった時の対処法

辛い事情が重なると、「子どもは好きだけどしんどい…」「自分は保育士に向いてないのでは?」などと、仕事を続けるのが辛くなってきます。

そんなときは、身近に相談できる人を持つようにしましょう。職場の同僚や先輩もよいですが、気兼ねなく自分の思っていることを言うには、学生時代からの友人や趣味を通じた仲間などがよいかもしれません。

また旅行やスポーツなど、保育とはまったく違う世界に没頭することも、気持ちが切り替わり、また仕事を頑張ろうと思える効果があります。

まとめ

保育士の辛い仕事事情を、具体的な理由と現状を踏まえてご紹介しました。

このような辛い立場ではありますが、仕事のやりがいは格別ですし、なにより子どもたちの笑顔と成長する姿に出会える、素晴らしい仕事であることは間違いありません。

現在保育士の労働環境を改善する運動が各地で行われています。状況を変えていくためには、多くの人に保育士の置かれている厳しい現状を理解してもらうことが必要です。

これまで自分の中で苦しい思いを抱え込んでいた保育士さんは、身近な誰かに相談してみることから始めてみてはいかがでしょうか。